都知事選 政見放送格付け

7日に投開票を迎える東京都知事選。政見放送にも話題が集まっています。NHKTOKYO MXでそれぞれの収録が、どちらも一人あたり5分30秒の持ち時間あるのですが、歴代最多の56人が立候補したため、すべての政見放送を見ようと思うと長時間になってしまい現実的ではないでしょう。

そこで、すべてに目を通した暇人の著者が、注目するに値する政見放送を厳選し、格付けしてみました。主張している内容についての評価ではなく、いかに自分の意見を伝えることに長けていたのか、自分の長所を見せることができていたのか、という点でのみ評価しています。著者の偏見のみで書かれた記事ですが、よろしければぜひ動画をご覧になってください。

ちなみに、冒頭の経歴紹介は、候補者自らが提出したものを音声ソフトが読み上げています。

 

 横綱

小池ゆりこ

学歴を詐称していた疑惑がささやかれていて、今回の選挙でもカイロ大学卒業と発表したら刑事告発すると元側近の方から言われていましたが、今回も堂々をカイロ大学卒業と公言して出馬しました。内容は誰よりも具体的で、潤沢な税収をどう使っていくかということに重きを置いて話をまとめています。優しい口調で丁寧な物言いは、有権者に寄り添っているアピールでしょう。落ち着きがあり、高い支持率を誇っているのもうなずけます。

 

河合ゆうすけ(MX版) ジョーカー議員と投票率を上げる会

そんな現職の小池知事を皮肉ったのが河合うゆすけさん。映画「ダークナイト」で、ジョーカーが看護婦の格好をしているシーンを彷彿とさせる女装姿で糾弾しています。インターネットでよく議論されているような話題を取り上げていて、若者層に響くように狙っているのでしょう。今までの河合さんの政権放送は、ただふざけているだけという印象でしたが、今回は本物のジョーカーにような切れ味を感じます。ジョーカーはジョークで人を殺すという悪役なのですが、それはそれでアナーキズムという立派な政治的なメッセージです。

 

大関

内野愛里 カワイイ私の政見放送を見てね

びっくりしました。まるで海外の候補者を見るようです。内野愛里さんは政治に関心がないのだと思いますが、私は政治に関心がないという主張をはっきりと表現できていると思います。MX版の手話通訳者は、表情豊かで一生懸命通訳しようとしているところが魅力的で、このNHK版はなんとも言えない表情で通訳しているところにインパクトがあります。眼鏡をとるという行為が印象的だったので、こちらを選びました。確かに最近暑いですよねぇ。

 

うつみさとる 市民がつくる政治の会

キチガイ医」を自称されているのだそうで、過激なメッセージが含まれています。演説で厳しい口調をする人は多くいますが、政見放送となると比較的穏やかになりがちです。うつみさとるさんは、むしろ真逆で、街頭演説ではにこやかなのに、政見放送では怒っているような口調で問題点を明確に指摘しており、社会に対する熱い使命感を感じました。

 

関脇

AIメイヤー AI党

覆面姿の候補者はいましたが、原稿で顔を隠すという発想がおもしろいですね。AIメイヤーさんが主張しているように選挙に立候補するリスクは大きいと思いますから、うまく言いたいことを表現できています。「私が顔を隠している理由は顔を隠したいからです」という掴みもいいですね。

 

NHKから国民を守る党のみなさん

N国党から出馬している19人は、ほぼ全員が同じ原稿を読んでいます。「NHKをぶっこわす」というキャッチフレーズを掲げている政党が、このようにNHK政見放送で何度もNHKを批判することで、本当にぶっこわしてやろうという発想がすばらしいですね。N国党の政見放送が続いた後に出てきた候補者が、なんだか場違いのように見えてしまったくらいでした。

 

幕下

蓮舫

鋭い口調で与党や役人を追及する姿が印象的な蓮舫さんですので、この政権放送の笑顔はなんだか不気味です。柔らかな口調にしないと支持が集まらないという判断なのでしょうが、蓮舫さんにそんな優しさを求めている人がどのくらいいるのでしょうか。

よく、知事が役人にパワハラをしたなどというニュースがあります。市民が選ぶことのできない役人を、市民に代わって監視するのが知事の仕事ですから、あなたのために役人を怒鳴りつけてくれる人って頼りがいがありませんかね。そういう蓮舫さんの方が個人的には魅力的です。良いところが出てない政見放送でした。

 

政見放送ができなかった人も

NHKでは5人、TOKYO MXでは7人が政見放送をしていません。さまざまな事情があるのだろうとは思います。立候補者本人しか出演できないというルールがあるのでしょうか、つばさの党の黒川あつひこさんは現在拘留中で政権放送を収録することができなかったようです。

勾留というのはあくまでも刑法を犯した容疑のある人が取り調べを受けている段階で、有罪が確定したわけではありません。そういう人が、ほかの候補者と同じような選挙運動ができないことは問題です。せめて、代理人が出演してもいいというような配慮はするべきだと思います。

ニコニコニュースのネット演説では内縁の奥さんである外山麻貴さんらが出演していました。すばらしい対応ですね。

 

泣いても笑ってもあと2日。政見放送を見て、気になった候補者がいたのなら、ぜひ投票所に行ってみましょう。投票権はかけがえのない国民の権利なのですから。

 

 

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