電動キックボード推進派はLUUPのない選挙区の議員ばかり

みなさん、電動キックボードはご利用されていらっしゃいますか?街中で見かけるLUUPという緑色のアレです。便利そうな反面、あぶなっかしい様子を見かけた方も多くいらっしゃると思います。

この電動キックボードを推進した議員たちを調べてみると、ほとんどがLUUPを導入していない選挙区や、比例代表制で当選していることがわかりました。つまり、田舎の議員が都心の交通事情を決めているのです。

ことさらに電動キックボードを危険だと言うつもりはありませんが、民意は電動キックボードをどう思っているのでしょうか。

 

電動キックボード 規制緩和の流れ

2022年4月に道路交通法改正案が可決され、2023年7月から電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新設された枠組みに分類されることとなりました。車道も歩道も走ることができ、運転に免許は不必要、ヘルメットは努力義務という扱いです。これ以前では、原動機付自転車免許以上の運転免許が必須で、ヘルメット着用も義務でしたので、かなり規制が緩和されました。

この電動キックボードを家電量販店などで購入することもできます。また、特に注目を集めているのが、LUUPという会社が行っている電動キックボードを共有するサービスです。事前に登録しておくと、全国8200か所(2024年6月時点)にあるポートとよばれる拠点を置かれたキックボードを自由に借りることができ、好きな拠点に返却すればよいというものです。

この改正案が可決される3年ほど前の2019年5月、自民党内で電動キックボードの普及促進を目指そうと、モビリティと交通の新時代を創る議員の会(MaaS推進議連)という議員連盟が設立されました。会長は甘利明さんで、衆参両院から自民党議員33人が参加。その後、2021年10月に衆院選があり、翌年の国会で先述の道交法が改正されたのです。

 

MaaS推進議連

では、MaaS推進議連に参加した33人の議員たちが、その後の2021年の衆院選でどのような結果になったのかを見ていきましょう。33人中、選挙区から選出された議員は21人(後任者を含む)で、そのうち、自身の選挙区にLUUPを導入している議員は5人でした。

名前 議会 選挙区 LUUP 備考
逢沢一郎 岡山1区 なし  
赤沢亮正 鳥取2区 なし  
阿達雅志 全国比例   比例に単独で出馬
甘利明 南関東ブロック   神奈川13区で落選 比例で復活
石井正弘 岡山2区 なし  
石崎徹 北陸信越ブロック    
岩井茂樹 静岡 なし  
石原伸晃       衆東京8区で落選 比例復活できず*1
今枝宗一郎 愛知14区 なし  
上野宏史       衆北関東ブロックから単独出馬も落選
勝俣孝明 静岡6区 なし  
神山佐市       衆北関東ブロックから単独出馬も落選
城内実 静岡7区 なし  
桜田義孝 南関東ブロック   千葉8区で落選 比例で復活
佐々木紀 石川2区 なし  
菅原一秀       買収疑惑などで離党 出馬せず
田中和徳 神奈川10区 なし  
高橋克法 栃木 あり 宇都宮市内にポート多数
武井俊輔 九州ブロック   宮崎1区で落選 比例復活
津島淳 東北ブロック   比例に単独で出馬
西村明宏 宮城3区 あり 仙台市太白区の一部にポートあり
額賀福志郎 茨城2区 なし  
平沢勝栄 東京17区 あり 全域にポート多数
藤丸敏 福岡7区 あり 柳川市内に2か所のみポートあり
細田博之 島根1区 なし 2023年に死去
三ツ矢憲生 三重4区 なし  
宮路拓馬 鹿児島1区 なし  
盛山正仁 近畿ブロック   兵庫1区(LUUPあり)で落選 比例で復活
八木哲也 愛知11区 なし 総裁選で石破茂を推薦
山際大志郎 神奈川18区 なし  
山口泰明 埼玉10区 なし 後任で次男の山口晋が当選
山田美樹 東京1区 あり 全域にポート多数
山本有二 四国ブロック   比例に単独で出馬

(敬称略)

 

国会議員は田舎者の集まり

国会議員というのは、全国の地方から広く平等に選出されることを目指しています。選出された地元の利益のために行動をすることを期待されているはずです。

しかし、LUUPがポートを設置しているのは、主に東京、大阪、横浜、京都、宇都宮、神戸、名古屋、広島、仙台、福岡という都心で、無関係の地方の議員ばかりで都心の交通事情について検討していることになります。本当に民意は電動キックボードを歓迎しているのか、冷静に考える必要があるのではないでしょうか。

都心では自動車が多く交通渋滞も問題になっていますから、うまく電動キックボードを活用できれば非常に便利なになりえるでしょう。しかし、現在の道路状況では、急に転んだり、自動車の運転手の視野角外を走ったりしていて、死亡事故にもつながりうる状況が多く存在しているという声も多くあります。

電動キックボードの規制緩和よりも先に、安全に自転車や電動キックボードが道を走ることができる専用道を作るなど、優先することがあるのではないでしょうか。

*1:ちなみに選挙区で石原さんを破った吉田晴美さんは、9月の立憲民主党の代表選に立候補。党の注目株になっているようですね。